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レッツチャット販売終了に際して

松尾さんのサイトで、レッツチャットの販売終了のお知らせを見ました。いよいよか、と感慨もひとしおです。

レッツチャットは2003年の発表以降、伝の心とならんでコミュニケーション支援の重要な役割を担ってきました。ところが2010年春、レッツチャットを開発した社内ベンチャーのファンコムの解散とレッツチャットの販売中止が報じられると、全国的な販売継続請願運動がまきおこり、これにより後日、親会社により販売中止は撤回されその後も生産と販売が継続されるという出来事がありました。

あの頃からこの日が来るのはある意味で時間の問題だったと思います。いくら必要性の高い商品であってもひとつの私企業が製品提供を続けるには自ずと無理も限界もあります。企業から見れば福祉機器に関係する事業で社会貢献でき、さらに収益が得られる限り問題は少ないのですが、それがうまく行かなくなったときの『やめ方』がなかなか簡単ではないことは、それまであまり考えられてこなかったようでした。

しかしこの出来事は、多くの福祉機器製造・販売関係者や福祉機器分野への参入を計画していた人々を驚かせ、目を覚まさせ、二の足を踏ませるには十分な大きさでした。当時請願運動に参加した人々のなかにこのようななりゆきを考えた人はどれだけいたのでしょうか。

いまのところ今回の製造中止販売中止は静かに受け止められているようです。これも時代の変化でしょうか。このようなことで技術支援が影響を受けるのは望ましいことではありません。また一企業やその構成員が社会的に責任を負わされたり、問われたりするようなこともあってはいけないと思います。

そのためにも特定製品や商品に過度に依存した手法や経済状況に影響されやすい『民間活力』への過度の依存には十分注意して行く必要があると思います。過去にこのような出来事がなかったわけではないことを忘れてはいけません。

すくなくとも私にとってレッツチャットは企業活動と公益性の関係について改めて考えさせるキーワードでした。

またこれらの出来事がきっかけになって、福祉機器とビジネスとの距離を大きくとる、言い換えると不景気になって会社がバタバタ潰れてもコミュニケーションエイドが消えてなくならないようにするための活動に取り組んできたとも言えます。

ながいあいだありがとう あなたのおかげです おせわになりました さようなら おげんきで


2019/07/30 公開

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