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しゃべる文字盤 with AquesTalk スキャン

従来の『しゃべる文字盤スキャン』は,マウス右クリックで操作しましたが,
F9 キー操作に変更しました

Microsoft Excel for communication aids

しゃべる文字盤スキャンの画面


透明文字盤のように自由にコミュニケーションエイドを作れないものか?と取り組みをはじめ,1年半がたちました.このたび,より聞きやすい音声出力とサポートのしやすさを目的として,しゃべる文字盤に人工音声出力機能を加えこちらのページで紹介しております.説明が詳しいのでまずこちらをご覧下さい.これに続いて,しゃべる文字盤スキャンにも同様の機能を追加しました.


『 しゃべる文字盤 with AquesTalk スキャン』 もメニューバーなどの表示を省略してよりシンプルにしました.
起動すると,『しゃべる文字盤はじまります』と発声します.
上の図のように,「はい」,「いいえ」,「どちらでもいい」,「どちらでもない」と4種類の言葉が表示され,順番に背景が赤色に変化します.これをスキャン動作と言います.目的の言葉の背景が赤になったタイミングで F9キー(今回からマウス右クリックから変更しました)を押すと,それぞれ「はい」「いいえ」「どちらでもいいです」「どちらでもありません」と発声します.またESCキーを押かエクセルを閉じると,『しゃべる文字盤おわります』と発声し,終了します.

これまでの『しゃべる文字盤スキャン』と同様に,上の文字盤は自由に書き換えることができます.また今回の改良で発声も下の方法で変更可能になりました.


音声記号の設定ワークシートの図

発声の調整方法

文字盤の各セルを選択したときの発声は,『文字盤音声記号』のワークシートで設定します.文字盤のA1を選んだ時の発声は,『文字盤音声記号』のワークシートのA1セルに記載されている音声記号「は'い」を読みとって発声します.つまり文字盤のワークシートのあるセルの発声は音声記号のワークシートの同じ行列番号のセルに記載されています.これらの音声記号は,AquesTalkの仕様に従って,自由に発声させることができます.

例えば『はい』の音声記号は「は'い」になります.真ん中の半角'はアクセントを指定します.『ありがとう』の音声記号は「ありがとうございま_ス」になります.末尾の_スは,無声化の記号で,より自然な発声をするために使います.これらの記号を使わずに,ひらがなの羅列でも発声は一応できます.音声記号仕様書は下記のAquest社のサイトから入手できます.

以上より,エクセルの操作だけで,文字盤の外見も発声も自由に設定,変更できるようになりました.


 Aquest社のAquesTalkのインストール

『 しゃべる文字盤 With AquesTalk 』を使用するためには,AquesTalkのパソコンへのインストールが必要です. 

AquesTalkについて,詳しくは解説はこちらをご覧ください http://www.a-quest.com/products/aquestalk.html

2011年2月14日にAquest社の上記サイトがリニューアルされました.これに伴い上記のダウンロードサイトで入手できるのは,発声に制限がある評価版のみになりました.これでは困りますので,以前に配布されていたものと同じものを下記からダウンロードできるようにしました.

Window用AquesTalk    (aqtk_mv_20090609.zip  1.1MB)

これはZIP形式の圧縮ファイルです.使用する前に解凍しなければなりません.解凍にはLhasa などを使います.(窓の杜,Lhasaのページはこちら) その他,WindowsXPの正規ユーザならば,マイクロソフト純正の解凍ソフトが使えるそうです. (窓の杜,NEWSはこちら)

上のファイルを解凍すると,AquesTalk_mvという名前のフォルダできます.その中には,binという名のフォルダとAqLicense.txt と,readme_mv.txt の2つのファイルがあります.readme_mv.txt には,フォルダbinの中にある8つのフォルダと8種類の声について説明がありますのでお読み下さい.しゃべる文字盤のためにAquesTalkをインストールするには,この中の声を選んで,該当するAquesTalkDa.dllをシステムフォルダ(Winxpの場合はc:\windows\system32)へコピーします.

この部分の説明はわざとあっさり簡単に書きました.この文章を何回か読んでもよく理解できない場合には手助けが必要です.ご自分でむりをせず,どなたかに助けを求めることをお勧めします.この作業はある程度パソコンをあつかいなれた人にとってごく簡単な作業で,特に専門知識を必要とするものでもありません.このような人はこの先も今回のようなハードルを越える際にもあなたの助けになるでしょう.こんな『助っ人』をみつけることは大切なことです.(もしかしてコミュニケーションエイドより大切かもしれません)
ご家族やご友人やお知り合いで,どなたか助けが見つかるといいですね.

『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』はアクエスト社の規則音声合成ライブラリを使用しており、その著作権は同社に帰属します。


『 しゃべる文字盤 with AquesTalkスキャン 』の試作品はこちらからダウンロードできます.

方法,下記の青文字を『右クリック』→『対象をファイルに保存』でパソコンに保存できます.

『 しゃべる文字盤 with AquesTalk スキャン』    (SCB_S_4x1_3F1c.xls  49kB)

このエクセルファイルの各ワークシートには保護をかけてありません.変更や改変はそのまま行ってください.

(スキャンタイプのファイルに保護をかけると,スキャン動作自体によりエラーが発生しますので間違って保護をかけないようにご注意下さい.)

いろいろやった結果,正常な動作をしなくなった場合は,再度ダウンロードしてください.


使い方

エクセルの設定とファイルの起動時の操作
『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』の動作にはエクセルのマクロを使用しています.使用前にエクセルの設定変更が必要です.設定の方法は,ツール>マクロ>セキュリティーでセキュリティーレベルを(中)にします.この設定では,起動時にマクロを有効にするか尋ねてきますので,有効にするをクリックします.

起動すると,マクロを有効にするか聞いてきます.変更や改変などメンテナンス作業にはマクロを無効にするとやりやすいでしょう.マクロを有効にすると,「しゃべる文字盤 はじまります」と発声し,使用可能な状態になります.

終了するには,ESCキーを押すか右上のXをクリックします.「しゃべる文字盤 おわります」と発声して終了します.メンテナンスする場合にはESCキーを使うと便利です.

OPTIONのワークシートでは,背景色,文字色,選択色,スキャン間隔,発声速度などが設定できます.


操作スイッチについて

これまでの『しゃべる文字盤スキャンシリーズ』は,マウスの右クリックで操作するように作ってきましたが,今回から操作キーをF9キーに変更することにしました.

昨年,しゃべる文字盤で環境制御装置機能を検討しました.(詳しくはこちら) その際,しゃべる文字盤(エクセル)からなんでもIR(インターネット エクスプローラ)の操作を試みましたが,双方のショートカットキーやホットキーに既に右クリックが指定されており,場合によってはややこしい状態になりやすいことがわかりました.そこで,今後の発展性も考えてしゃべる文字盤のベースであるエクセルやいくつかのソフトのショートカットキーをしらべ,重複の少ないキーとしてF9を選びました.これは今後も検討を続けていく必要があると思います.

2010年7月20日の最初の公開では,F10キーを操作キーとして使っていました.しばらくすると原因不明の不具合が発生することがわかりました.そののち改良を加え再度公開することができました.

さて,この文をお読みの方の中には『しゃべる文字盤』を必要とするお身体の不自由な方がキーボードのF9キーをどうやって押すのだろう?と思われる方もおられるかもしれません.

ゲームパッドと外部スイッチ端子

この問題の解決にはパソコン用のゲームパッドとゲームパッド入力をキー入力に変換するソフトを使います.これはパソコンゲーム愛好者にはとてもポピュラーな方法で,家電量販店では呆れるほど豊富な品ぞろえがごく安価にあります.また変換ソフトも無料のものや安価なものがたくさんあります.(窓の杜の紹介記事はこちら)さらにゲームパッドのボタンの接点を外部に取り出して利用する方法もあります.電気工作に自信があり,フリーのソフトを使えば低コストで実現できます.それ以外の方はいくらかお金がかかりますが『できマウス。』をお使いになるとよろしいでしょう.

これで,ジェリービーンスイッチやPPSスイッチなどを『しゃべる文字盤』の操作に使えます. 


 発展的使い方

今回ご紹介した 『 しゃべる文字盤 with AquesTalk スキャン』 は,「はい」「いいえ」「どちらでもいい」「どちらでもない」の4種類を表示し,それぞれ「は'い」「いーえ」「どちらでも、い'いで_ス」「どちらでも、ありません」(表記はAquesTalkの音声記号です)と発声します.

これを,「おとうさん」「おかあさん」「おじいさん」「おばあさん」と表記し,音声記号を,「おとーさん」「おかーさん」「おじーさん」「おばーさん」に書き換えれば,そのようなしゃべる文字盤ができます.文字盤ワークシートの各セルに写真が画像をはりつけて,関連する言葉を発声させることもできます.音声記号はかなりの長文でも可能です.


マクロについて

マクロはVBAで作りました.コードにはガードはかけてありませんので,普通に見ることができます.全くの独学ですのでアドバイスをいただけると助かります.そのようなレベルですがよろしかったら参考になさってください.


 まとめ

マウスクリックで操作する,人工音声機能付き『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』と同様の機能を盛り込み,『 しゃべる文字盤 with AquesTalk スキャン 』をご紹介しました.

しゃべる文字盤シリーズは,より多様なコミュニケーションエイドを安価に提供することを目的にしています.また,手作りの透明文字盤のように,コミュニケーションエイドをお使いになる人と身近にいる人たちでニーズを実現できる,問題を解決できる道具として開発を行っています.

これらの用途として,コミュニケーションエイド,VOCA,特殊教育ツールなどを想定して作りましたが,私の想像を超えた用途もあるように思います.次の段階では使いこなしが新しいフロンティアになると思います.新しい発想に期待したいと思います.

みなさんのご意見をお聞かせください.私も助かります.


2011/02/22  AquesTalkのダウンロードに関する記載を変更
2010/09/03 不具合修正の上,再度公開

2010/09/01 不具合修正のためダウンロード中止
2010/07/20 公開

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