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りーだぶる

ページめくり機りーだぶるは,ダブル技研株式会社の製品です.

2001年春に,ダブル技研株式会社様のご厚意により,りーだぶる(PM2308-R)をお貸しいただき,試用させていただきました.この文章は,そのときの記録をまとめたものです.その後の改善により,本文の記述内容が古いことも考えられます.

試用は一週間でした.時間の節約のため,本の設定などは全て当科が行いました.2,3日の試用をした方が2名,あとのおひとりは,10分程度の試用.いずれも中高年の頚随損傷の男性で,操作スイッチはロッド型ナースコールスイッチを使用しました.


 試用された方の声
「動作音が大きい.自宅,或いは施設では個室でないと,導入が難しい.同室者がいる場合は気兼ねが大きい.」
「集中して読書しているときに,大きな動作音に自分が驚かされる.」
「価格が高い.」
(しかし確実に本をめくる動作を実際に見てもらい,また2,3日試用すると満足感は大きくなる傾向が見られました.この機能でこの価格なら安いと言う人もいました.)

病院スタッフの声
「デザインが悪い.音が大きい.」
「これだけしっかりページをめくれる機械は初めてみた.」

ここまでのまとめ
使う人の立場からは,動作音が大きいことがまず指摘されました.また,動作が確実である点も高く評価されていました.おそらくカタログだけでは,りーだぶるを十分理解できないでしょう.実際に使って,自分で動きを見,音を聞くことが大切だと思います.試用して納得すれば,満足感を得られるでしょう.あとは価格との相談です.
また,りーだぶるに興味を持つ人は,中高年の男性が多いように思われました.読書家で,蔵書の数も多いようです.本棚に並んでいる思いでのある本をもう一度目の前に開きたいとの思いが強いのでしょうか.
偶然だと思いますが,これに比べ,女性で関心を示す人はあまりおられませんでした.読書に対する需要は個人差はかなり大きいようです.


比較的不自由が大きい,中高年の男性がユーザとなると,介護者の中心となる人は,奥様やヘルパーさんが考えられます.そこで,ある奥様(50代前半)に本の設置をやっていただきましたが,なかなかうまくできませんでした.

取扱説明書は,難解で読みこなすにはある種の慣れが必要です.また一般消費者向けに書かれていませんから,わかりにくいです.また,ノブの類は固く,力が必要な割には小さく,手が痛くなります.

また,最大の難関が本のセットです.大きさの異なる本をセットし直す作業は,かなりの慣れが要求されます.ですが,同じ大きさ,厚さの本を入れ替えるような場合には,それほど苦にはなりません.
週刊誌程度の大きさの本は,セットや調整が楽です.文庫や新書など幅の小さい本は,微妙な設定が必要です.ページめくりゴムローラの高さとページ押さえ板の高さをずらすと若干調整が楽になります.
薄い本は,セットが楽です.厚い本は,これまた微妙な設定が必要です.ハードカバーは,ソフトカバーより楽です.
まとめると,週刊誌は簡単で,厚い文庫本は苦労します.(できないわけではありません)


りーだぶるを動かすときに,別の問題があります.
たるみ調整機能を連続して使うと,本の位置がずれ,ページ押さえ板から外れることがあります.また,製本の弱い本ではページを引きちぎることもあります.
このようなことを防ぐためには,たるみ調整機能を必要なとき意外は解除しておくのがよいでしょう.

本のセットが最大の難関ではありますが,これが何とかなれば,あとの問題の解決は容易と考えられます.うまくセットさえできれば,本のページをめくる機能については,過去に例をみないほどの高さです.


 以上をまとめると.
1.スイッチ操作はできるか
2.大きな音がしても大丈夫か
3.価格を上回る満足感はあるか
4.周囲の人が,本のセットができるか

これらの点を事前に十分検討することをお勧めいたします.


ある展示会でりーだぶるを初めてみたときは,動作の正確さに驚きました.しかし,その価格を考えると,どんな人がこの機械を購入するのかなかなかイメージできませんでした.今回試用を引き受けていただいた方々にお話をうかがいました.

「苦労して集めた本が,ずらりと本棚に並んでいるけど,今は背表紙を眺めるしかできないのです」
確かにこのような方にとって,りーだぶるは安いと言えるかも知れません.

「主人は本の虫で,野球放送をみながらでも本を読んでいたんです.でも事故の後,庭で全部燃やしちゃったんです.こんな機械があるなんて知らなかったから」
「やめときゃよかった」


試用にご協力いただきました,皆さんと,便宜をいただきましたダブル技研株式会社様にはあつくお礼申し上げます.


03/05/15 公開

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