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タブレットのバッテリ交換

設定電池表示

0 はじめに

ついうっかり忘れて、起動したままタブレット(またはスマホ)を放置しバッテリを空にしてしまったことなんて、あなたはありませんか。前回はそんな話をしました。

この問題の根本的原因は、長く使用したバッテリの有効時間が短くなっていることです。買ったばかりの初めの頃はバッテリも長持ちして、一晩放置していてもゼロになることはあまりありません。充電も数日ごとで十分だったりします。しかしやがてバッテリの持ちが短くなっていき、とうとう毎日充電が必要になります。充電を忘れると翌朝困ったりします。こうなると余裕がなくなりますがまだまだなんとかやっていけるでしょう。

しかし朝出かけるときに満タンだったバッテリが夕方までもたないとなるとこれは困ります。外出先でスマホが使えないと連絡がつかなくなります。しかしその人がいつでも充電できるところ(例えばステイホーム)にいればまだなんとかなります。買い物や移動の時だけバッテリが使えればいいのです。

またバッテリの残量や時間を自分できちんと把握していればまだよいのですが、充電を忘れたり残量を忘れたりすることもあります。これは自動車のガス欠と同じで、よくやる人はときどきいます。このようなときはモバイルバッテリなど追加のバッテリを充電して持ち歩き、本体のバッテリが消耗した際にそれで充電したり、携行缶にガソリンをいれて車に積んでおき、ガス欠の時に使うこともできます。そんな人の車はガソリンくさいのですぐわかります。まあ普通の人はガソリンを持ち歩くなんてしません。おっと脇道にそれました。バッテリの話にもどします。

どのくらいバッテリが弱くなると困るかは、その人の生活スタイルによって違いがあります。またこの機会にスマホを新品に買い換える人も少なくありません。まあお金持ちですね。でも地球環境とか温暖化とかはさておいて、お金の節約のためには最低限必要な出費におさえて辛抱して使うのが昔からの賢いやりかただとは思います。

1 バッテリの相談

さてある日の出来事。例のモニターさんが久しぶりにお見えになりました。その日はWeb文字盤にいくつかのことばを追加してほしいという話が一番目、そしてバッテリの持ちが悪くなったという相談が二番目の話でした。

モニターさんはその後ますます活発にWeb文字盤を使っているという話は、あちこちから聞こえていました。そのひとのあるがままに生活するのは私も賛成です。福祉機器はそのための道具なんですから。そんなある日、充電したタブレットをいつものように使っていたら、夕方の6時にはバッテリが切れてしまい、もうその日は使えなかったそうです。この場合『いつものように』というのはある意味ことばの綾で想像するに多分その日は一段とハードに使ったのでしょう。でもそれがこの人のやり方なのですからしかたありません。『ひとの口にふたはできない』とはこのことでしょう。【注 正しくは、噂は止められないという意味です】

ちなみにモニターさんは、声が不自由なので普通の会話はできません。上の文章ではさも会話したように読めますが、すべてWeb文字盤の合成音声を使った『会話』です。

さて、まずお使いのタブレットを見せてもらいました。『設定』からバッテリ消費の様子を確認したところ、画面の電力消費が全体の4割近くあり、そのほかの消費はごくすこしでした。(このページのトップ画像は別のタブレットの同じ画面です。このような方法でバッテリ消費の傾向を知ることができます。ご参考まで)また音量の設定は最大に近くなっていました。どうやら文書の入力にかなり時間をかけていることと、文の読み上げはかなり大きな音でやっていることがわかります。

まず最初は省エネから始めるのがよいでしょう。モニターの明るさを半分くらい、音量も三分の一程度に節電設定を試してもらうことにしました。

数日後、再度お見えになりました。そしていくらかましになったけれど、やはりバッテリはあまりもたない。離れた人に声をかけるには音量は大きくないと相手に聞こえないのでちいさくできない。 というおはなしでした。日頃の様子がいろいろわかります。

このように、自分の生活スタイルを考慮した上で、さらに節電の工夫をして、それでもバッテリがもたないのがわかれば、間違いなくその人にとってそれがバッテリ交換の時期だと考えていいでしょう。また自分で十分考え、いろいろ工夫し試して、それらの事情をきちんと説明される方のご要望はやはり何とかして実現できるようにお手伝いしたいものです。考えてみるとこれこそコミュニケーション本来の目的だと思います。たとえ方法や使用する道具が多少変わっていても。

Web文字盤のモニターは費用をおさえるために中古のタブレットを使いました。ですからバッテリが古くなったら交換にどのくらい費用がかかるのかは既にお伝えしてありました。確認のため改めてお話したところ、お金は大丈夫と返事がありました。

さてここまで話がにつまったところで、動き始めることにしましょう。

2 作業の下準備

実はお使いのタブレット、Nexus7(2012)のバッテリの交換について予習はすでに始めていました。

お使いのタブレットは8年前のベストセラーです。ということは既にバッテリ交換した人がかなりいると思います。検索すると案の定、いくつかのサイトが見つかりました。中には大変詳しい説明と詳細な写真もありました。(文末の参考URLを参照ください)このような記事は作業の難易度を判断できるので下見としてかなり参考になりました。

このような作業を何回か経験すると、文章に書いてない細かな手加減もわかるようになります。その結果今回のタブレットのバッテリ交換作業は私にとってそれほど難易度は高くないと判断できました。新しいことに取り組む時には、勉強も大事ですが遊びの方もなかなか役に立つものです。また技術支援は誰かの生活が対象ですので勉強と遊びの区別はあまりつかないのが普通です。

またタブレットの交換用バッテリはかなり特殊な部品ですが、通信販売で2000円程度で入手できることもわかりました。注文したら3日後に到着しました。じつにいい時代です。

3 バッテリ交換の手順

バッテリは郵便で届きました。包みの中の小さな段ボール箱を開けるとバッテリが入っている白いボール紙の箱と簡単な工具が入ったビニール袋がありました。

段ボール箱を開くとバッテリと工具

工具はこじ開けが2種類(中央の紺色)ドライバが3種類(右)両面テープはがし(左上の三角形)バッテリを引きはがすための吸盤でした。

工具一覧

箱から出して緩衝材を外したバッテリです。表示が日本語と英語の併記です。WLJUSTという名称のサードパーティー製品です。

バッテリ本体

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バッテリ本体表示拡大

実際使用する工具はこじ開けの大きい方だけです。そしてタブレット本体と新しいバッテリです。タブレットは事前にシャットダウンします。

タブレットと新しいバッテリと工具

角の部分のすきまにこじ開けをいれてすきまを広げると爪が外れます。これを全周で繰り返して爪をすべて外します。力はいりません。

こじあけでケースを開く

このように開きます。中にバッテリが見えます。当然同じ大きさです。

ケースが開く

コネクタ部分の黒い保護シールをはがすと接続部分が見えます。

コネクタ接続部分

バッテリは両面テープで二カ所、ケースに接着してあります。バッテリを持ち上げじわじわと片方ずつはがしていきます。ASUSのロゴが見えます。

古いバッテリを持ち上げる

コネクタにはロックがありません。じわじわ揺らしながら外します。

コネクタが外れた

新しいバッテリを取りつけて、コネクタ保護シールを貼ったところです。同じものを同じように貼って元に戻すのがコツです。

コネクタ保護シールを貼る

あとは、分解した時と反対の手順で組み立てます。説明は長いですが実際には10分もかかりません。

4 調整作業

組み立てができたら起動してみましょう。起動できたら充電と放電を何回か繰り返しましょう。これによって、タブレットがバッテリ残量を何%と正しく表示するようになります。この作業は簡単ですが時間はかかります。

組み立て後に起動できない場合は、新しいバッテリか本体のどちらかまたは両方の問題が考えられます。古いバッテリにもどせば本体の確認はできます。また新しいバッテリに所定の電圧がでているかも確認が必要でしょう。雑な作業や力任せの作業ではこのような困ったことにもなりますので、十分気をつけましょう。

5 おわりに

かの国のタブレット組み立て工場では若い人たちが、何十秒かで一台、一日に何百台も組み立てているでしょうから、組み立て作業自体は職人技でも名人芸でもありません。ただ手加減、力加減には慣れが必要ですので、初めてやるときはここに気をつけたほうがいいでしょう。

その昔、我が国でも同じようなことをやっていたのですが、『ものつくりニッポンの再生』などと言われますがそれほど簡単なことではないことがよくわかると思います。この種の仕事は、来る日も来る日も我慢我慢です。耐えられる人はそれほど多くないでしょう。

その後、モニターさんにお渡ししてしばらく使ってもらいました。特に問題もなく肝心のバッテリの持ちも良くなったそうです。

『2日は持つようになった』そうですが、昨年モニターの始めの頃は古いバッテリでたしか4日はもっていたはずです。そのことをお話すると、

『いまはまえより何倍も使っているから』ということでした。

いやはや、全く結構なことです。

参考URL


2021/04/16 公開

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