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伝の心

伝の心は,(株)日立製作所の製品です.

伝の心に関する詳細をお知りになりたい方は,まず以下のホームページをご覧になってください.

製造会社
日立ケーイーシステムズ(株)  http://www.hke.co.jp/products/dennosin/denindex.htm

販売会社
(株)シースターコーポレーション  http://www.sea-star.com/index.html
(左のメニュー,「情報システム部」→「福祉機器」で表示)
パシフィックサプライ株式会社   http://www.p-supply.co.jp/
(「コミュニケーションエイド」→「意志伝達装置」で表示)

そのほか,yahooなどで,キーワード「伝の心」で検索するとたくさんヒットします.

これで,伝の心について,ひととおりのことがご理解いただけたと思います.


伝の心は,1997年10月の発売開始以来,ユーザの意見や要望に基づいた改良を加え,進化しております.またそれにも係わらず価格は据え置き,改良版へのバージョンアップもほとんど実費のみでできます.現在の機能については,上にご紹介した各社のホームページをご覧頂ければよろしいかと思います.

日立のような大企業がこのような分野に参入したことは,当初驚きでした.また,その後加えられた改良などを見ると,この取り組みへの姿勢が伺われます.色々なご意見もありましょうが,私はこの件について,まず敬意を表したいと思います.伝の心は約四年間で,通算千台出荷したと聞きました.これは大した数字と言わざるを得ません.


当院では2台の伝の心(デスクトップ型とノート型)を練習用に購入し,使用しています.基本的には,特に変わった使い方はしていません.ご使用になる方の状態によって,2台を使い分けています.

まず,使い方を覚えていただくことと,操作に使用するスイッチの選定から開始します.
対象となる方は,使い方がわからないからといって,説明書を見ることができない方がほとんどですから,初めはガイド役がそばについて,ひとつひとつの操作をやっていただきます.文字盤の操作を覚えたあたりでコツをつかむ方が多いようです.このためにガイド役は一通りの操作をマスターしている必要があります.伝の心に付属する簡易説明書をカンニングペーパーとして見やすい場所にはるのも良い方法だと思います.

伝の心の操作スイッチとしては,標準でタッチスイッチと磁気スイッチ(最近,瞬きスイッチや表情スイッチも追加されました)から選択できます.これらのスイッチは(瞬きスイッチや表情スイッチはまだ実物を見たことがありません)大変よくできています.しかしこれらのスイッチはかなり重度な方を対象にしているように思われます.確かに機能が低下した方にはこれらのスイッチはきわめて有効だと思われますが,そうでない方にとっては,あまり使いよいものではないようです.いらいらするそうです.また介護する方にとっても取り扱いにいくらか手間がかかるようです.
そこで,シンプルさと軽快さを重視したスイッチを製作することがよくあります.もちろん操作練習と並行してスイッチの製作作業を進めますから,素早く作れることも求められます.ですからはじめのうちはハリボテ状態です.
操作練習が進むにつれて,操作速度もだんだん上がってきます.伝の心のスキャン速度も操作に慣れるにつれて,だんだん変更していくことになります.するとスイッチに対する要求も微妙に変わってきます.はじめは幾分大きめの,動きの渋いスイッチが好まれるようですが,小さく軽く応答の速いものがほしくなったりします.またストロークや形状や重さについても使う方の好みがだんだん現れてきます.変化に合わせてどんどんスイッチを改良していきます.

このように書くと,たくさんのスイッチを作らなくてはならないと思われるかも知れません.実は少しの工夫でかなり楽になります.(これについては別に書きます)

伝の心を試しに使ってみるのなら,このあたりまでやりたいものです.試用の目的は,実物を使ってみて,購入後を予測することですから,目途が立たない,よくわからない,納得がいかないようなやり方には問題があると言えるでしょう.特にスイッチや画面など身体に関係する部分に注意すべきです.
特にワープロやパソコンに慣れていない方や,スイッチの操作自体が困難な方や,体調がすぐれないために一日の練習時間を十分にとれない方の場合,残念ながら販売店などのレンタル期間では十分ではないと思います.早いうちにこれが改善されることを期待します.

ここまできてから,はじめてこの機械がその人に必要かどうか,有用かどうかを判断すべきです.よくわからないまま,十分に使えないまま判断を下してはもったいないことになります.
使い方もわかった,一通り使えるようになった.しかし私はこれを使いたくない.という人がいてもよろしいかと思います.十分に納得した上での判断であるならば,尊重すべきだと思います.


また,このような道具の場合,一通り使いこなせるようになった後で,ご自分のこれからの生活にどのように生かしていくかを考え,将来の可能性を想像することが何より大切なことです.運転免許をとって車も買ったけれど,乗っていく用事が思いつかないのでは困ります.道具は使って,使いこなして,その結果使う人が幸せになるためにあるのだと思います.そのためにも,十分な時間,日数が必要です.このような考え方は,医療現場ではこれまで足りなかったのではないか?と,訪問した家庭で,使われずに置いてある福祉機器をみると思います.

2001年の改良ではWindows本体の操作ができるようになると発表されました.これは普通の人と同じことが伝の心でもできるという意味で画期的です.しかし,このことから将来の可能性をどうイメージするかは,パソコン経験者と未経験者で大きな差が現れるでしょう.ここにもデジタルデバイドがやってくるようです.
そんなときに若干のアドバイスができる経験者が身近にいれば随分助かることでしょう.「パソコンの専門家ではないから私はわからない」などといわずに取り組んでいただきたいものです.だって自動車の専門家でないひとでも運転してるでしょ.この際,専門家は関係ないのです.


03/05/15 公開

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