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道具としてのコミュニケーションエイドをさらに生かすために

コミュニケーションエイドからパソコンへ

コミュニケーションエイドのお話をしてきましたが,どの機種にせよもはや単なるコミュニケーションの道具とは呼べないほど変化してきています.その変化の方向は,普通の人がパソコンを使ってやっていることを,少し変わった方法で,同じようにできるようにしようとしているように思えます.コミュニケーションエイドを使う第一の目的は,意思を伝えることですが,さらに別の使い道があるように思います.ここでは,コミュニケーション以外の使い道について記します.

コミュニケーションエイドをお使いの方との,とりとめにない雑談が下になっていますので,いささかまとまりがない文章です.ご容赦下さい.


読書

 「テレビは一年で飽きた.ビデオは半年で飽きた.」
入院生活や在宅での生活で,多くの時間をテレビを見て過ごす方が多いと思います.やはり飽きる方が多いです.何がイヤかと聞きますと,あまりに受け身で時間を過ごしてしまうからだといいます.何か主体的にやりたいのだそうです.
 「自由に本が読めたら..読んだりやめたり,読む早さも自分で決められるから」

パソコンで本を読むためには,本に相当するファイルとそれを表示するソフトが必要です.わかりやすい例でお話ししますと,ワープロで作った文章ファイルをいくつか用意し,これを選び,スクロール(上下に表示を動かす)できれば,読書ができると考えられます.
しかし,本を一冊丸ごと入力する作業はかなりの負担です.

青空文庫から,著作権の切れた(または著作権が放棄された)作品を入手できます.ファイルは,テキスト形式(通常のワープロや“メモ帳”で表示可),HTML形式(ブラウザで表示可),専用ソフト(エキスパンドブックリーダ)形式の三種類あります.より紙の書籍に近い表示をするエキスパンドブックリーダも入手可能です.(いうまでもありませんが,無料です.その他,月刊ASCIIのふろくになることもあります.)
エキスパンドブックリーダは,音声認識ソフト(ViaVoice,IBM)で操作できました.ですからパソコンに一切手を触れなくても読書は可能です.またマウス(らくらくマウス(ONESTEP企画)などの代替マウスを含む)さえ使えれば,問題なく読書できます.
本の数は,正確にはわかりませんが千冊は超えているようです.ただ著作権の関係で古い本がほとんどです.青空文庫の他にも同様に著作権の切れた書籍のファイルが入手できるサイトがあるようです.こちらも同様と思われます.著作権は作者の死後50年後,最初の年末で消滅するそうです.ですから,明治時代の作品は問題ないのですが,それ以降となると青空文庫からの入手は困難かと思います.

M.Shibata さんのホームページでは,電子化された日本語テキストを紹介しています.こちらは有料の作品も紹介されています.

文章ファイルを作成するには,色々な方法が考えられます.書籍をスキャナで画像に取り込み,文字認識ソフトでテキストファイルを作るのが一番楽な方法のようです.しかしやってみますと,誤認識の修正に手間がかかり,決して楽ではありません.何人かで手分けしてやるべき仕事のようです.しかし,作成したファイルの取り扱いには注意する必要があります.むやみに配付する行為は著作権の侵害にあたります.
本をお読みになりたい方がその本を購入し,これをお預かりし,文書ファイルを作成し,本と一緒にお返しする.これでしたら問題ないのかな?と思います.そのファイルをコピーして他の誰かにお渡しするとどうでしょうか?残念ながら私には関係する知識がありません.どなたか詳しい方がおられましたら,ぜひ教えてください.

伝の心でも読書はできます.伝の心は,30kB以下の大きさのテキストファイルを読み込み表示できます.大きなファイルはワープロなどで分割して読み込ませます.ハードディスクのc:¥Program Files¥Hke¥DenNoSin¥Bin¥Docs にコピーする(ctrl+alt+delで伝の心をシャットダウンし,Windowsで操作する)か,フロッピーディスクから読み込みます.
読み込んだ文書ファイルを,カーソル移動させスクロールするのが読みやすいとのことです.
またファイル分割は,その方が一回で読み終える分量で行った方がよろしいです.

2001年秋のモデルチェンジで伝の心もWindows操作ができるようになりました.


ゲーム

ファミコンの時代からゲームは人気があります.時間をもてあましがちな生活では,とかくテレビで時間をつぶしがちです.何か別の主体的に取り組めるものが必要とお考えならば,ゲームが役に立つかも知れません.最近は病室でノートパソコンをお使いの方もお見かけするようになりました.(もちろんゲーム以外にもお使いです.)
市販のゲームソフトもたくさん流通しています.また,フリーソフトやシェアウエアもたくさんあります.(窓の杜やベクターなどには実に様々なものがあります)

ゲームの良さは,将棋や麻雀などの対戦相手のある種目をひとりでできること.また開始も終了も自由であること.そして種類によっては操作に時間がかかっても問題ないことがあげられます.またある種の達成感も(場合によっては挫折感も)期待できます.

ゲームなど何の役にも立たないなどのご意見もあるでしょうが,ひとつのステップとしての価値はあると思います.

ひとくちにゲームといいましても,様々な種類があります.私もあまり詳しくありませんので,関連するサイトや雑誌などごらん下さい.一般的に,シューティングゲームなど素早い反応や操作が必要なゲームは,お身体がご不自由な方には向いていないといわれています.しかし試してみたところ,一応健常と思われる私にも,あまり向いていないことがわかりました.
多少の困難があったとしても,やはりゲームの基本は,本人にとって楽しい時間を過ごすことです.好みに合ったゲームを見つけるまでが一苦労のようです.

また,ゲームの操作に使用する機器も確認する必要があります.ゲームによって,キーボードからの入力が必要で,マウスだけでは操作しきれないとか,音声認識ソフト(ViaVoice,IBM)で操作できないとか,いろいろと制約があります.どなたかこのような情報をご存じの方がおられましたら,教えてください.

コミュニケーションエイド(意思伝達装置)をつかって,面白いことをやっている方,アイデアをお持ちの方,おられましたらどうぞ教えてください.


インターネット

やはり本命はインターネットだと思います.
一般的な使い方はここではさておき,お身体の不自由な方にとってのメリットについてお話ししたいと思います.

病気や怪我でお身体が不自由になられた方にとって,住宅改造,福祉車輛(自動車),在宅介護,自分のこと,家族のこと,将来のことなど,まるで未知の世界です.医療スタッフもかなりのお話をして,情報提供に努めてはおりますが,ある種の限界があるようです.

ところが,同じような境遇でお身体が不自由になった人が,どのようにしておられるかを,サイト(ホームページ)を閲覧することで,部分的にではありますが,知ることができます.どのような方法でどなたが作られているのかわかりませんが,その方の生活ぶりを紹介したサイトは実にたくさんあります.(検索サイトで,「障害者」and「在宅生活」などのキーワードで検索してみてください.おそらく初めての方は,数の多さに驚かれるかもしれません.)

当院の頚随損傷の方に,同じくらい程度の方のサイトを見ていただきました.そのサイトでは,日常生活のこと,ご家族のこと,工夫したこと,困ったこと,趣味のこと,受傷してからのご自分の気持ちの変化や考えられたことなどが記されていました.
「とても参考になる.この人の言っていることは,いまの私にはよくわかる」とのことでした.

また,別の方は,
「世の中広いものですね.実にいろんな人がいるもんだ.同じことができるかどうかわからないけれど,こんな人もいることを知ってよかった.」とのことでした.

誰にとっても「先達はあらまほしきかな」だと思います.


電子メール

コミュニケーションエイドをお使いの方は,一般的に外出は困難で,電話での会話も困難です.ですが言いたいことをたくさんお持ちの方が多いようです.目の前にいる人には,従来のコミュニケーションエイドの利用で,言いたいことが伝えられます.離れたところの人には,電子メールが便利かと思います.特に忙しい相手(主治医など)には,喜ばれるようです.


03/05/15 公開

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