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PPSでナースコール 変換ケーブル

売っていないなら自分で作る

PPSとナースコール

赤い矢印の変換ケーブルでつながっています

0 はじめに

当院のナースコールはケアコム社の製品です。このナースコールシステムで標準以外のスイッチを使用するには、分配コンセント(上写真左)を使用し、左の配線は壁面のナースコールコネクタに、中央のコネクタには標準の押しボタンスイッチを、そして右のコネクタには標準以外のスイッチを接続します。このようにすると標準の押しボタンスイッチも標準以外のスイッチも両方同時に使用できるようになります。

当院で最も多く使用している標準以外のスイッチは、離床センサです。次に多いのが標準以外のナースコールスイッチです。そしてときにはイマイチ聞こえにくい人工呼吸器のアラームもこの方法でナースコールとつないで連動させています。そのためこれらの機器全てに、この分配コンセントに適合したコネクタを取り付けてあります。このように準備しておけば、設置作業も回収作業もごく短時間で効率的に行えます。

1 変換ケーブルの製作

さて、ある神経難病の患者さんがレスパイト入院されました。この方はご自宅でホームコールとして使用しているPPSスイッチ(パシフィックサプライ)を入院中も使いたいとのご希望でした。ご存知のようにPPSスイッチは接点出力を、3.5mmのミニプラグから出しています。分配コンセントも接点出力を受け付けできるのでこれらは電気的には接続できるのですが、コネクタの形状が違うので物理的に接続できません。

変換ケーブル

このような場合には写真のような変換ケーブルを作り使用しています。 この変換ケーブルは、三和コネクタ研究所のメタコンプラグsck-1402-p(写真右側)と3.5mmのモノラル3.5mmミニジャック(写真左側)(オーム電機、写真はサトーパーツ製)をハンダ付けして作りました。 はじめは市販品はないかと探したのですが、予想通りそんな商品はありませんでしたので自分で作りました。慣れた人にとって特に難しい作業ではありませんのでどうぞお試しください。ただし抜けどめのため、ジャックとプラグはテープなどで貼り付けると良いでしょう。これで作業時間が短縮でき業務が改善されます。手間のかかる作業や間違えやすい作業は、このように改善できることがあります。『改革』は自力でもできるのです。

このほか私物の市販のスイッチを持って入院される事例は少なくありません。例えばトクソー技研のほっぺたスイッチも3.5mmミニプラグがついていますが、同じ変換ケーブルを使ってナースコールを利用できるようになります。家でもショートステイでも入院先でも同じスイッチが使えるとご本人やご家族の安心感や信頼感はかなり改善されます。こんな理由でこの変換ケーブルは何本か作って使っています。

2 おわりに

不自由を持つ人のスイッチ操作を支援する際には、今回ご紹介した変換ケーブルなどの小物部品が必要になることがよくあります。そのときこのような物の完成品が手軽に入手できればいいのですが、このような製品はなかなか見つかりません。このような商売が成立するためには販売価格がかなり高価になり、結局誰も買わなく(買えなく)なるからです。便利にはそれなりにコストがかかっているのです。便利を享受する人がコストを適正に負担しないとその便利は消えていきます。(むかしばなしみたいですね)

もうこうなると自分で作るしかありません。そのためこのような電気工作の技能と部品の知識は欠かせません。例えば故障した場合にどこかに頼んで何日か待つか、それとも自分でやって数分で済ませるかでは、お使いになる方のご負担にあまりに違いがあります。

そのためにも、苦労してコツコツと積み上げていくほかに方法はありません。誰にでも簡単にできるうまい話には気をつけないといけないと、お年寄りやちいさいこどもさんにもおしえてあげてください。

参考URL


2023/02/17 公開

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