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レッツチャット練習用 しゃべる文字盤

レッツチャットはファンコム株式会社(2010年6月営業終了)ならびに
パナソニックヘルスケア株式会社
の商品です.

Microsoft Excel for communication aids

メモ帳にレッツチャットのれんしゅうをしましょうと書いてある

レッツチャット練習用しゃべる文字盤


コミュニケーションエイドが必要かな?とお考えの方には,実際の道具を生活の場面で試してみることを強くお勧めしております.
カタログを見ただけでは,道具の機能やはたらきを一応わかっても,それを使ったら自分と周囲の人とのコミュニケーションがどんなふうになるのかと考えるのは簡単ではありません.何しろコミュニケーションは人間の心を映す鏡のようなものです.展示会を見物している人にとって機械から声が出て文字がでればそれはそれでよろしいのでしょうが,様々な事情で厳しい現実に直面している皆さんには,声や文字が伝えるだけでなく,周囲の方々と気持や思いなども通じ合いそして解り合えて,こころの重荷が軽くなっていただきたいものと思います.

そのためにも生活の場面で,実際の道具を使った,実践的な練習が大切になります.これは単にことばがご不自由な方が道具を操作して言葉を送り出すだけではなく,生活の場面で会話の相手となる方がその言葉を受け取りそれに返答する,それにまた道具を使って返事をするといった具合にまわりの何人かの人の間でうまく言葉をやったりとったりする練習とお考えいただき,関係する皆さんで取り組んでただきたいと思います.

さて,練習するには道具が必要です.比較的高価な道具ですのでレンタルなど貸し出し制度があると経済的に助かります.当院でも,テクノエイドルーム(http://www.koshi-rehabili.or.jp/data/shien/t-room.html)を設けていろいろな福祉機器を貸し出しています.その中には伝の心やレッツチャットのようなコミュニケーションエイド機器もあります.大変人気があり引き合いもたくさんあります.富山県内の4カ所の厚生センターにも貸し出し用レッツチャットがありますがこれらもよく貸し出されるそうです.

最近は神経難病の患者さんがテレビや新聞などのマスコミで紹介されることも増えて,コミュニケーションエイドの存在も徐々に知られるようになってきました.こういった事情で取り組む方がふえているのでしょうか.福祉機器が世の中に広く知られ,利用されることはこれはこれで大変喜ばしいことと思います.

さて困ったことになりました.貸し出し品が少なく貸し出し希望が多いとき,普通は貸し出し日数を短くして早く次々に回るようにしたいところですが,このコミュニケーションエイドという道具は,『あとがつかえていますので,手早くことを済ませてください』とはなかなかいきません.


このような理由で『レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』を作りました.

2010年夏に生産中止された,二代目レッツチャットの操作練習をエクセルの入っているWindowsパソコンでできます.文字盤はエクセルを使い,文章表示にはメモ帳を使っています.文字盤の配置やデザインなどに違いがありますが,コミュニケーションエイドの体験用や練習用としては役に立つと考えます.レッツチャットとの機能の違いは次の通りです.

  1. ワイヤレスコールなど外部呼び出しができません.ブザーもありません
  2. 文字盤はひらがなとカタカナの2種類だけです
  3. スイッチを2個使った入力はできません.1個のみです.
  4. スイッチの長押しでの起動はできません.
  5. スキャン開始位置は左からだけです.スキャン方式はブロックスキャンだけです
  6. 入力無視時間の設定もありません

またWindowsパソコンを使いますので次のような違いもあります.

  1. レッツチャットより大柄になります.ノートパソコンでも持ち運びに不便です.
  2. ジェリービーンスイッチなどオプションのスイッチを使うには,パソコンとスイッチをつなぐ装置が必要です.(説明は後ほど)

その他,『レッツチャット練習用しゃべる文字盤』の特徴は以下のようになります.

  1. ひらがなとカタカナの2種類の文字盤を切り替えができます.(ユーザの操作で可能)
  2. 3種類の文章ファイルを切り替えて使えます.(ユーザの操作で可能)
  3. 句読点と改行を追加しましたので,長い文章が読みやすくなります.
  4. 文字盤や文章の文字フォントの大きさは,使う人に合わせて調整できます.また文字盤と文章の配置も自由に調整できます.(支援者の操作で可能)
  5. 文字盤の空白部分に自由に言葉を追加できます.家族の名前や好きな食べ物など追加できます.(支援者の操作で可能)
  6. 発声はこれまでと同じくAquest社のAquesTalkをつかっています.男声2種,女声2種,中間的声1種,(その他ロボット,機械的な声2種)から(支援者が)選べます.また文章読み上げには,cnccさんのSoftalkを使い,漢字仮名交じり文もなめらかに読み上げできます.


 Aquest社のAquesTalkのインストール方法

『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤 』を使用するためには,AquesTalkのパソコンへのインストールが必要です.

AquesTalkについて,詳しくは解説はこちらをご覧ください http://www.a-quest.com/products/aquestalk.html

2011年2月14日にAquest社の上記サイトがリニューアルされました.これに伴い上記のダウンロードサイトで入手できるのは,発声に制限がある評価版のみになりました.これでは困りますので,以前に配布されていたものと同じものを下記からダウンロードできるようにしました.

Window用AquesTalk    (aqtk_mv_20090609.zip  1.1MB)

これはZIP形式の圧縮ファイルです.使用する前に解凍しなければなりません.解凍にはLhasa などを使います.(窓の杜,Lhasaのページはこちら) その他,WindowsXPの正規ユーザならば,マイクロソフト純正の解凍ソフトが使えるそうです. (窓の杜,NEWSはこちら)

上のファイルを解凍すると,AquesTalk_mvという名前のフォルダできます.その中には,binという名のフォルダとAqLicense.txt と,readme_mv.txt の2つのファイルがあります.readme_mv.txt には,フォルダbinの中にある8つのフォルダと8種類の声について説明がありますのでお読み下さい.しゃべる文字盤のためにAquesTalkをインストールするには,この中の声を選んで,該当するAquesTalkDa.dllをシステムフォルダ(Winxpの場合はc:\windows\system32)へコピーします.

この部分の説明はわざとあっさり簡単に書きました.この文章を何回か読んでもよく理解できない場合には手助けが必要です.ご自分でむりをせず,どなたかに助けを求めることをお勧めします.この作業はある程度パソコンをあつかいなれた人にとってごく簡単な作業で,特に専門知識を必要とするものでもありません.このような人はこの先も今回のようなハードルを越える際にもあなたの助けになるでしょう.こんな『助っ人』をみつけることは大切なことです.(もしかしてコミュニケーションエイドより大切かもしれません)
ご家族やご友人やお知り合いで,どなたか助けが見つかるといいですね.

『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤 』はアクエスト社の規則音声合成ライブラリを使用しており、その著作権は同社に帰属します。


Softalkのインストール

しゃべる文字盤で作った文章は,cnccさんがお作りになったSoftalkを使って読み上げます.
Softalkは, http://www35.atwiki.jp/softalk/から入手できます.ダウンロードしたファイルを解凍すると,Softalkという名前のフォルダができます.これを,cドライブのルートにコピーしてください.
このフォルダ内のSoftalk.exeを起動してください.下の画面が表示されます.(下図はVer1.87の例です)右下の2つのスライダで声の音量と速度を調整できます.(下図は当方での設定事例です)

Softalkの起動画面

オプション>環境設定>音質のタブをクリックで下の画面が表示され,ここで発声する声を選びます.上から8種類がAquesTalkの声です.上で選んだ声と同じにすると普通ですが,普通でなければならない理由は特にありません.

音声設定画面

しゃべる文字盤からSoftalkを非表示で起動しますので,このようにSoftalkを起動して設定変更してください.

尚,Softalkを利用するには、Microsoft .NET Framework 2.0以上が必要です.Windows Vistaや7ではすでに入っていますので問題ありませんが,WindowsXPではインストールする必要があります.Microsoft .NET Framework 2.0は下記から入手できます.

http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=0856eacb-4362-4b0d-8edd-aab15c5e04f5&displayLang=ja


 文書ファイルの準備

『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』では『文1』~『文3』の3種類の文章を使えます.まずはじめに,Cドライブのルートに,3つのファイル,txt1.txt txt2.txt txt3.txt (それぞれ『文1』~『文3』に相当)を作ってください.しゃべる文字盤を開くと文1を開きます.文章の選択を切り替えたりしゃべる文字盤を終了すると上書き保存します.


『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』の試作品はこちらからダウンロードできます.

方法,下記の青文字を『右クリック』→『対象をファイルに保存』でパソコンに保存できます.

『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』    (SCB_LC_06d2b.xls  636kB)

このエクセルファイルの各ワークシートには保護をかけてありません.変更や改変はそのまま行ってください.

もし,いろいろやった結果,正常な動作をしなくなった場合は,再度ダウンロードしてください.


使い方

エクセルの設定とファイルの起動時の操作
『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤 』の動作にはエクセルのマクロを使用しています.使用前にエクセルの設定変更が必要です.設定の方法は,ツール>マクロ>セキュリティーでセキュリティーレベルを(中)にします.この設定では,起動時にマクロを有効にするか尋ねてきますので,有効にするをクリックします.

起動すると,マクロを有効にするか聞いてきます.変更や改変などメンテナンス作業にはマクロを無効にするとやりやすいでしょう.マクロを有効にすると,「しゃべる文字盤でレッツチャットの練習をしましょう」と発声し,使用可能な状態になります.

終了するには,ESCキーを押すか右上のXをクリックします.「しゃべる文字盤 おわります」と発声して終了します.メンテナンスする場合にはESCキーを使うと便利です.

OPTIONのワークシートでは,背景色,文字色,選択色,スキャン間隔,発声速度などが設定できます.


操作スイッチ

『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』は,キーボードのF9キーで操作します.お身体の不自由な方がキーボードのF9キーをどうやって押すのだろう?と思われる方もおられるかもしれません.

ゲームパッドと外部スイッチ端子

この問題の解決にはパソコン用のゲームパッドとゲームパッド入力をキー入力に変換するソフトを使います.上の写真(右ににぎり部分にスイッチプラグ挿入口を4つつけました.試験用です)のようなゲームパッドはゲーム愛好者にはとてもポピュラーな道具です.家電量販店では呆れるほど豊富な品ぞろえがごく安価にあります.また変換ソフトも無料のものや安価なものがたくさんあります.(窓の杜の紹介記事はこちら)(Vectorのページはこちら)さらに上の写真のようにゲームパッドのボタンの接点を外部に取り出して利用する方法もあります.電気工作に自信があり,フリーのソフトを使えば低コスト(約1000円)で実現できます.それ以外の方はいくらかお金がかかります(約1万円)が 『できマウス。』をお使いになるとよろしいでしょう.また上位互換機の 『できマウスS。』も注目です。

これで,ジェリービーンスイッチやPPSスイッチなどを『しゃべる文字盤』の操作に使えます.

追記:ゲームパッドは実に頑丈です.この点で現場むきの道具です.

さらに追記:ゲームパッドで作るパソコン入力装置の作り方はこちらです. 


 発展的使い方

今回ご紹介した 『 レッツチャット練習用 しゃべる文字盤』の,文字盤ワークシートに空欄があります.スキャン動作する空欄セルに入れた文字は,選択するとメモ帳に入力されます.また該当する音声記号ワークシートに発音記号を記入すると,選択時に発声します.

この部分は自由に使っていただきたいと思います.例えば,家族の名前や,好きな食べ物や,よく使うことばを入れるのもよろしいと思います.このような個人的都合に合わせる変更がしゃべる文字盤ではできます.

空欄にどんな言葉をいれたらいいのか,まわりの皆さんで相談してみてください.そんなところから,コミュニケーションづくりがはじまるように思いますがいかがでしょうか.


マクロについて

マクロはVBAで作りました.コードにはガードはかけてありませんので,普通に見ることができます.全くの独学ですのでアドバイスをいただけると助かります.そのようなレベルですがよろしかったら参考になさってください.


おわりに

レッツチャットを開発したファンコム株式会社の解散のお知らせがあったのは,平成22年のエイプリルフールでした.すぐさまパシフィックサプライの営業の方にレッツチャットの在庫を尋ねましたところ,1年半はいけるとのことでしたので,(異様に多い在庫に驚くと同時に)安心しておりました.ところがその後小口の注文が殺到し,年末には試用貸し出しができないほど在庫がなくなってしまったそうです.その間,当方にもレッツチャットの貸し出しに関する問い合わせが相次ぎ,なかには大変お困りになったお気の毒な方もおられました.

その後,レッツチャットの次期モデルの開発がパナソニック関連会社で継続されるとのニュースも届きました.その決定にいたるまでの署名運動も記憶に新しいところです.これでひとまず解決(?)なのかも知れませんが福祉機器の開発と供給についていろいろと考えさせられた出来事でした.

同じようなことが繰り返さないようにしたいものです.どうしたらよいでしょうか?

みなさんのご意見をお聞かせください.私も助かります.


2019/08/05 できマウス関連のリンク修正
2011/03/02 追記
2011/02/22 公開

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