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しゃべる文字盤スキャン v2

Microsoft Excel for communication aids

しゃべる文字盤スキャン はい いいえ


 発話が困難でもパソコンのマウスを操作できる方のために,マイクロソフトエクセルで簡単なコミュニケーションエイドを作りました.お使いいただいたところ,この方とご家族にはたいへん喜んでいただきました.簡単に作ったわりになかなか役に立つようですので,多くの皆さんに使っていただくために,『しゃべる文字盤』と名付けてこちらで公開しました.


 その後,同じく発話が困難な方が当院においでになりました.この方は麻痺が強く,ほとんど動けません.そのためコミュニケーションでたいへんお困りでした.その後,ご自身とご家族そしてスタッフのがんばりの結果,スイッチ操作がだんだんとできるようになりました.ご家族の呼びかけにブザー音での返事などもできるようになりました.

さて次はコミュニケーションエイドと話を進めたいところです.しかしご家族のお話では,この方はパソコンなど機械ものは『ちょっと苦手』だそうで,ビデオの留守録など家電製品,携帯電話などもおやりにならないそうです.また体力面での持久力が,コミュニケーションエイドをマスタするには少し足りないと判断されました.そこでビッグマックでの音声再生を練習してお帰りになりました.

この方のように,スイッチ操作可能だが,伝の心やレッツチャットなど『フルサイズのコミュニケーションエイド』はまだハードルが高い場合があります.がんばって練習しているのになかなか使いこなせないと,悲しい気持になったり,やめたくなったりします.疲れやすい人やこのような機械ものが苦手な人には,ほどほど上手になったら,ほどほど役に立ち,ほどほどうれしい,コミュニケーションエイドの初心者コースが必要と思います.


選択色,背景色,文字色を指定可能,その他の修正や改良を加えました.こちらからダウンロードできます.

方法,下記の青文字を『右クリック』→『対象をファイルに保存』でパソコンに保存できます.

しゃべる文字盤スキャン2行1列    (Speaking_Com_Boad_Scan2x1_2.xls  39.5kB)

しゃべる文字盤スキャン3行1列    (Speaking_Com_Boad_Scan3x1_2.xls  33.5kB)

しゃべる文字盤スキャン4行1列    (Speaking_Com_Boad_Scan4x1_2.xls  43.5kB)

上記を使用するための音声  男声 (s_m.lzh  308kB) 女声 (s_f.lzh  386kB)

上のエクセルファイルは圧縮してありません.音声ファイルはLZH形式の圧縮されています.使用するには解凍しなければなりません.Lhasa などを使い解凍します.(窓の杜,Lhasaのページはこちら)
WindowsXPの正規ユーザならば,マイクロソフト純正の解凍ソフトが使えるそうです. (窓の杜,NEWSはこちら)

解凍すると, s というフォルダができます. s の中には,数個の音声ファイルがあります.フォルダsとエクセルファイルを任意の同一の場所に保存します.エクセルファイルが文字盤本体です,これを開くと,上の図のような文字盤が表示されます.このファイルから同じ場所にある,フォルダ s の音声ファイルを呼び出して再生しますので,これらの位置関係や名前を変更すると,音声は再生されません.ご注意ください.

エクセルファイルには保護をかけてありません.いろいろとやっていただいてけっこうです.その結果,正常な動作をしなくなった場合は,再度ダウンロードしてください.


使い方

エクセルの設定とファイルの起動時の操作
しゃべる文字盤スキャンの動作にはエクセルのマクロを使用しています.使用前にエクセルの設定変更が必要です.設定の方法は,ツール>マクロ>セキュリティーでセキュリティーレベルを(中)にします.この設定では,起動時にマクロを有効にするか尋ねてきますので,有効にするをクリックします.起動できると,自動的にスキャン動作が始まります.

ESCキーを押すと停止します.1回で停止しない場合には,2,3回押してください.停止してよいか尋ねてきますので,「はい」をクリックすると終了します.「いいえ」をクリックすると,再開します.ここで「はい」をクリックしたあとでも,CTRL+Aで起動します.

セルに塗りつぶしの色が付いた時にマウスの右クリックをすると,発声します.セルの塗りつぶしの色と背景色と文字の色,スキャン時間間隔は,OPTIONのシートで設定できます.


操作スイッチについて

『しゃべる文字盤スキャンシリーズ』の操作はマウスの右クリックで行います.しかし,マウスの操作がうまくいかない場合には特殊なマウスを用意された方がよいと思います.それは,マウスを改造して右クリックの配線を外部に取り出し3.5mmのミニジャックをつけたものです.ここに別のスイッチをつないで使います.

腕に覚えがある方なら,ご自分でお作りになることをお勧めします.安くて早くて故障しても自分で直せます.
それ以外の方は,製品の購入をご検討ください.これらの商品は,こころWeb(http://www.kokoroweb.org/)やAT2ED(http://at2ed.jp/)などで紹介されています.

改造マウスを通信販売で取り扱っているところもあるようです.『改造マウス』をキーワードにして検索してください.


初めてのエクセルマクロでしたが予想したほど苦労はありませんでした.何しろ参考になるサイトはたくさんありますし,解説も豊富です.困ったら,『エクセル BVA 初心者 セル 色変更』などと,キーワードを選んで検索し,そこで見つかったコマンド文を次のキーワードにしてさらに検索すれば,数え切れないほどのご親切な皆さんのお力をお借りすることができます.その中から自分のレベルにあったサイトをいくつかブックマークし使わせていただきました.

またエクセルのバージョンによる違いも特に意識する必要はありませんでした.まったくエクセルはよくできたソフトです.


今回もエクセルベースで『しゃべる文字盤スキャン』を作ってみました.とにかく練習用ですから,出費をおさえることを念頭に置きました.コミュニケーションエイド,VOCA,特殊教育ツールにもいろいろ応用できると思います.

ある知人に見てもらったところ,『養護学校の先生が喜ぶだろう』と言っていました.

みなさんのご意見をお聞かせください.私も助かります.


まとめ  マイクロソフトエクセルはコミュニケーションエイドの夢を見るか?

『しゃべる文字盤シリーズ』はある意味でこれまでのコミュニケーションエイドと少し変わっています.これまで寄せられたご意見の趣旨もここにあるようです.文字盤の表示も,操作方法も,そして効果も従来と比較して特に目新しくはありません.ただ一点,マイクロソフトエクセルをベースにして作られていたことは,多くの人々にとって新鮮であったとおもわれます.

マイクロソフトオフィス(以下MSOffice)をはじめとする各社の相当商品は,いずれもワープロ,表計算,プレゼンテーション,データベースなどのソフトで構成されています.その内容はどの会社の製品もよく似ていますが,最も普及しているのはMSOfficeです.MSOfficeの入っていない,エクセルの入っていないWindowsパソコンにはなかなかお目にかかれません.あるBBSに,『★エクセルなら私でもできそうですね。お役立ちじゃないかも…ですが(^^;;』と書かれていました.そのとおりです.できるのです.10年以上前から,必要な道具は私のデスクの上にあったのに,私も最近までこれに気がつきませんでした.


かつてあるパソコン誌に『エクセル道』と銘打った連載記事がありました.会計事務を中心としたエクセルの応用事例紹介記事が主体であったと記憶しています.この記事で初めてエクセルの奥深さの一端を見ました.それ以降,仕事関係でエクセルの活用が少し進みました.エクセルってワードよりよほど奥が深く,製品として手が込んでいると考えるようになりました.『しゃべる文字盤』を製作する際に,一からプログラムを組む前に(その前に勉強も必要です),まずエクセルでトライしてみようと思ったのもこのあたりの経験がベースになっていると思います.

さてその後,イラストや4こまマンガの製作など,おかしなエクセルの使い方をしている人の存在も徐々に知るようになりました.エクセルは意外にも図形機能も充実しています.私も以前,機械製図をエクセルでやっていた時期があり,『エクセル恐るべし』を実感していました.そんなエクセル応用話のなかで私が一番衝撃を受けたのが,スペースインべーダーをエクセルで作る(再現する)話です.この話を初めて知ったとき私はただただ笑いが止まりませんでした.しかしこれに使われている『マクロ』にはまったく感心したものでした.こんなおもしろいものは,老後の楽しみに取っておこうと当時思っていましたが,このたび少し早めに勉強をはじめることにしました.


プログラムはPC98のN88BASIC以来です.ところが調べてみるとネットのあちこちに,解説,サンプルコードがたくさんあるのでたいへん楽をさせてもらいました.特に今回,『しゃべる文字盤スキャン』シリーズを作成するにあたり,スペースインベーダーのコードを参考にさせていただきました.セルの色変更,音,キー入力の処理など基本的機能において,ゲームとコミュニケーションエイドは重なる部分が多いことも理由のひとつです.考えてみれば,パソパルPCを作ったナムコという会社もゲームで名が通っていたことを思い出しました.

この仕事がきっかけで世の中に眠っているパソコンやエクセルのいくつかが誰かの役立てれば幸いと思います.


2009/04/08 ヴァージョン2 に更新
2008/11/27 公開

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