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障害をもつこどもたちのためのおもちゃ 4

ボールなげ

ぼーるなげ

0 はじめに

これまでいくつかのおもちゃを不自由をもつ人たちのために作りご紹介してきました。 何しろ初めてのことやよくわからないことも起きますのでその都度、勉強しながら進めています。

前回の『ボールころがし』では、指先でボールをつまみ上げたり、動かしたり、離したりでき、筒状の通路に落とすとコロコロ転がります。これらの操作にはいくつかの動作が必要ですが、その前の『つみき』とくらべるといくらか扱いやすくしました。どちらもおとなが思うような標準的な遊びもできますが、ボールを壁に押しつけてグリグリ音を出したり、つみきを放り投げて跳ね返ったつみきがクルクル回るのもおもしろがったり、このほかその人のすきなようにできるようにしてあります。このようにいろいろ考えていろいろやってみていろいろ楽しめるところがおもちゃのいいところだと思います。

1 今回の試作品 ボールなげ

さて今回はもっともっとシンプルなこのページのトップ画像のようなおもちゃをつくってみました。

ボールなげ 重力あり
ボールなげ 重力なし

起動すると中央に赤いボールがひとつ現れます。これをはじくととんでいき、壁にぶつかります。そのとき上下の壁にぶつかると、小太鼓の音がします。左右の壁にぶつかると大太鼓の音がします。動かす速さや方向で、『演奏』が変わります。

重力ありでは、ラケットボール(スカッシュ)のような動きをします。重力なしではカーリング(あるいはゲームセンターで見かけるエアーホッケー)のようなうごきをします。これら2種類の違いをことばで説明するのは簡単ではありませんが実際にやっていただくとすぐにわかります。プログラムとしてはひと文字変更しただけですがずいぶん動きの特性が変わり、おもちゃとしての性格も違います。

ボールをはじくのがお好きなひとも、跳ね返る様子を見たり音を聴くのが好きなひとも楽しめるでしょう。

あとはお好きなように遊んでください。

2 おわりに

今回のサンプルはいかがだったでしょうか?私がこのようにサンプルを皆さんに紹介しているのにはある理由があります。

こどもたちが関心もって取り組んでもらうには、その時代の新しいメディアを採用するのがどうやらこれまでの定番のようですです。過去を振り返ると、子供向け図書、レコードなど音楽メディア、映画やテレビの動画、パソコンだったりしました。これからはスマホやタブレットなのでしょう。ひとりに一台用意するそうですから。

小学生の時からパソコンやった人たちはそろそろ30歳になります。同様に10年後はスマホ、タブレット世代が社会に出てきます。もうこれは確実です。

不自由を持つ人たち(こどもたち)にとってもこれは他人事ではありません。それはこれらを活用することで不自由をいくらかでも補い生活を改善できるだろうと考えられているからです。

また、スマホやタブレットは使う人ひとりひとりに合わせて工夫しやすい、つまり合理的な配慮を盛り込みやすい、言葉を変えると、みんなそろって同じでなくていいという特徴を持つメディアです。これは通勤電車の車中ではみなさんそれぞれ違うことをしているのと同じです。

さあこうなってくると、これらをどう使いこなしていくかが課題になります。 何ができて何ができないのか?できるとしたらどうやるのか?そしてそれを誰がやるのか?

このようなことは早め早めにやったほうがいいだろうということで、いろいろ作って考えていこうとしているのです。私と同じようにお考えの方々に楽しんでいただければ幸いです。またおもちゃは誰が楽しんでも構いませんのでご自由にどうぞ。


2021/09/10 公開

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