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しゃべる文字盤 with AquesTalk

Microsoft Excel for communication aids

しゃべる文字盤の図


透明文字盤のように自由にコミュニケーションエイドを作れないものか?と取り組みをはじめ,1年半がたちました.このたび,より聞きやすい音声出力とサポートのしやすさを目的として,しゃべる文字盤に人工音声出力機能を加えました.

これまでのしゃべる文字盤を自由自在に活用しようとした場合,一番手間がかかるのがやはり音声ファイルを作る作業のようです. 音声ファイルを使うこれまでの方式も,特定個人の声(よい声,あるいは個性のある声)を使用できる,多くの外国語に応用しやすいなどの様々な利点があるのですが,聞き取りやすい均質な音声を録音で作るには,ある程度上手な話し手の協力が必要です.声の良さもコミュニケーションエイドにとってかなり重要と思われます.

人工音声の手始めに,こちら紹介している JukeDox を使ってみましたが,いまいち自然さに欠けるような気がしました.その後しばらく人工音声の調査に力を入れていました.そして,しゃべる文字盤との相性や,開発者が使いこなせるか(私自身が使いこなせなくては問題になりませんので勉強や訓練や練習が必要です)などの検討を行いました.その結果しゃべる文字盤に組み合わせる人工音声として,Aquest社のAquesTalkを選びました.
その理由は音声の品質が高く,声の種類もいくつかあり選べること,そしてフリーソフトの「しゃべる文字盤」に組み合わせるのですから,人工音声もフリーであることです.またしゃべる文字盤を使う人や支援する人にとって,AquesTalkの音声記号も十分扱いやすいことがわかりました.


『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』 の外見は上の図のようなりました.まずエクセルのメニューバーや各種のツールバーや行列記号表示をやめて,表示をよりシンプルにしました.これにより視認性が向上し,モニター画面を有効に使えます.
上の図では,文字盤のフォントはMS P ゴシックの26ポイント,表示部分は同じく18ポイントを使用しています.背景色は白,文字色は黒としています.文字盤のセルは縦35ピクセル横70ピクセルに設定しています.これらはしゃべる文字盤をお使いになる方やコミュニケーションの相手になる方の都合や好みにあわせて変更できます.図では全体に地味な外見になりましたが,どのようにも(派手にも)変更できるのはこれまで通りです.このような画面表示の変更や調整はエクセルの操作でおこないます.よってここでは説明を省略します.


音声記号ワークシートの図

発声の調整方法

『50音』文字盤の各セルをクリックしたときの発声は,『50音音声記号』のワークシートで設定します.『50音』文字盤の「あ」をクリックした時の発声は,『50音音声記号』のワークシートのA2セルに記載されている音声記号「あ」を読みとって発声します.つまり文字盤のワークシートのあるセルの発声は音声記号のワークシートの同じ行列番号のセルに記載されています.同様に『あいさつ』文字盤の発声は『あいさつ音声記号』ワークシートに,『からだ』文字盤は『からだ音声記号』ワークシートにあります.これらの音声記号は,AquesTalkの仕様に従って,自由に発声させることができます.

例えば『はい』の音声記号は「は'い」になります.真ん中の半角’はアクセントを指定します.『ありがとう』の音声記号は「ありがとうございま_ス」になります.末尾の_スは,無声化の記号で,より自然な発声をするために使います.これらの記号を使わずに,ひらがなの羅列でも発声は一応できます.音声記号仕様書は下記のAquest社のサイトから入手できます.

以上より,エクセルの操作だけで,文字盤の外見も発声も自由に設定,変更できるようになりました.


 Aquest社のAquesTalkのインストール

『 しゃべる文字盤 With AquesTalk 』を使用するためには,AquesTalkのパソコンへのインストールが必要です. 

AquesTalkについて,詳しくは解説はこちらをご覧ください http://www.a-quest.com/products/aquestalk.html

2011年2月14日にAquest社の上記サイトがリニューアルされました.これに伴い上記のダウンロードサイトで入手できるのは,発声に制限がある評価版のみになりました.これでは困りますので,以前に配布されていたものと同じものを下記からダウンロードできるようにしました.

Window用AquesTalk    (aqtk_mv_20090609.zip  1.1MB)

これはZIP形式の圧縮ファイルです.使用する前に解凍しなければなりません.解凍にはLhasa などを使います.(窓の杜,Lhasaのページはこちら) その他,WindowsXPの正規ユーザならば,マイクロソフト純正の解凍ソフトが使えるそうです. (窓の杜,NEWSはこちら)

上のファイルを解凍すると,AquesTalk_mvという名前のフォルダできます.その中には,binという名のフォルダとAqLicense.txt と,readme_mv.txt の2つのファイルがあります.readme_mv.txt には,フォルダbinの中にある8つのフォルダと8種類の声について説明がありますのでお読み下さい.しゃべる文字盤のためにAquesTalkをインストールするには,この中の声を選んで,該当するAquesTalkDa.dllをシステムフォルダ(Winxpの場合はc:\windows\system32)へコピーします.

この部分の説明はわざとあっさり簡単に書きました.この文章を何回か読んでもよく理解できない人には手助けが必要です.ご自分でむりをせず,どなたかに助けを求めることをお勧めします.この作業はある程度パソコンをあつかいなれた人にとってごく簡単な作業で,特に専門知識を必要とするものでもありません.このような人はこの先も今回のようなハードルを越える際にもあなたの助けになるでしょう.こんな『助っ人』をみつけることは大切なことです.(もしかしてコミュニケーションエイドより大切かもしれません)
ご家族やご友人やお知り合いで,どなたか助けが見つかるといいですね.

『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』はアクエスト社の規則音声合成ライブラリを使用しており、その著作権は同社に帰属します。


『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』はこちらからダウンロードできます.

方法,下記の青文字を『右クリック』→『対象をファイルに保存』でパソコンに保存できます.

『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』    (SCB_1_2e.xls  95kB)

このエクセルファイルの各ワークシートには保護をかけてあります.変更や改変する際にはワークシートの保護をはずしてください.(ツール>保護>シート保護の解除)その際にパスワードは設定してありません.変更や改変作業の後は保護をかけておくと,誤操作等による不用意な変更を防ぐことができます.

その際にその結果,正常な動作をしなくなった場合は,再度ダウンロードしてください.


使い方

エクセルの設定とファイルの起動時の操作
『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』の動作にはエクセルのマクロを使用しています.使用前にエクセルの設定変更が必要です.設定の方法は,ツール>マクロ>セキュリティーでセキュリティーレベルを(中)にします.この設定では,起動時にマクロを有効にするか尋ねてきますので,有効にするをクリックします.

起動すると,マクロを有効にするか聞いてきます.変更や改変などメンテナンス作業にはマクロを無効にするとやりやすいでしょう.マクロを有効にすると,「しゃべる文字盤 はじまります」と発声し,使用可能な状態になります.

終了するには,右上のXをクリックします.「しゃべる文字盤 おわります」と発声して,終了します.

OPTIONのワークシートでは発声速度を設定できます.


マクロについて

マクロはVBAで作りました.コードにはガードはかけてありませんので,普通に見ることができます.全くの独学ですのでアドバイスをいただけると助かります.そのようなレベルですがよろしかったら参考になさってください.


 マウス操作について

『しゃべる文字盤シリーズ』はマウスを使って操作します.しかしマウスを使えなくても下の説明のように『しゃべる文字盤シリーズ』を使うことはできます.ですからマウスを使えないからというだけで,あきらめる必要はまるでありません.

マウスと同じことを別の方法でできます.これを「代替マウス」とよばれます.商品もいくつかあり,こころWeb(http://www.kokoroweb.org/)やAT2ED(http://at2ed.jp/)などで紹介されています.

またこれらの道具をいくつか組み合わせて使うこともできます.このような道具はこのように使わねばならないといったルールはほとんどありません.足や口で使ってもいいし,複数のマウスを使ってもいいのです.基本的には可能なことは何をやってもいいと考えて計画を進めるのがよいでしょう.

さらに,顔の動きでマウス操作する方法も現れました.(http://www.oskaworld.com/category/free-face-mouse.php)(英語です)

このような状況から,マウス操作のコミュニケーションエイドの可能性は従来より広がっていると考えられます.そしてマウス操作を目標にした,運動機能訓練にも今後期待が集まります.

「指が一本動いたからって,生活の何が変わるの?」
「パソコンが使えます.コミュニケーションできます」

このようになりつつあります.


まとめ

今回ご紹介した,人工音声機能付き『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』は,お使いになる方が,目にするものも耳にするものもすべてエクセル操作のみで自由に変更,改造,拡張ができるようになった点でコミュニケーションツールとしてのひとつのマイルストンに達したと思われます.

『 しゃべる文字盤 with AquesTalk 』の用途はとして,コミュニケーションエイド,VOCA,特殊教育ツールなどを想定して作りましたが,私の想像を超えた用途もあるように思います.次の段階では使いこなしが新しいフロンティアになると思います.新しい発想に期待したいと思います.

みなさんのご意見をお聞かせください.私も助かります.


2011/02/22  AquesTalkのダウンロードに関する記載を変更
2010/05/31 公開

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