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点検の部  定期点検


形ある物は必ずこわれる日が来ます. 
車いすも同じ,こわれないと考える方が無理です.問題は,いかにそれを早く見つけて手を打つかです.ここでは,当院において実施している車いすの点検について説明します.点検は,月一回の定期点検と,車いすをご使用になっていた方が退院されて,車いすを次にお使いになる方にお渡しする間に行う,退院時点検の二本立てになっています.
当院の規模は,病棟数3,ベッド数150,車いすをご使用になる方は平均110人,所有する車いす数各種合計140台です.

定期点検
当初は,次に説明する退院時点検のみで活動を始めました.しかし安全面,特にブレーキの利きがよくない車いすが目立つため,この定期点検を実施することになりました.
院内の使用中の車いすをもれなく把握することは,非常に困難です.なぜなら,当院に入院されている方は動き回るからです.昼間,病室にいる方はあまり多くありません.訓練や入浴など,皆さんなかなかお忙しいのです.中には夜も病室にいない方がおられます.真夜中に活動するのではこちらの身がもちません.訓練室の前で待ちかまえて,通る車いすを片端から点検する方法もやってみましたがだめでした.あまりにスピードが速いことと,それでも見落としが出たからです.
患者さんが一列に並んで待っている時がありました.それは月一回の院長回診の時です.さすがに皆さんぴたりとそろいます.回診の後ろからついて,点検作業をすることにしています.約一時間で一つの病棟の約50人の患者さんを回診しますから,こちらも遅れるわけにはいきません.平均すると一病棟あたり約35台の車いすがありますから,かなり忙しいです.
ですから,点検の項目は重要な部分に絞られます.タイヤに空気はしっかり入っているか?そしてブレーキは十分にかかるか?の二点です.またお使いになっている方の要望により,ブレーキレバーの延長やフットレストの調整などもやります.これらの作業は2名で行っています.間に合わない場合は,病室番号とお名前を記録し,回診後作業にあたることもあります.

車輪の項目でも書きましたが,車いすのタイヤの空気は,およそ一ヶ月で随分少なくなり,ブレーキの利きも落ちてきます.ですから月一回の定期点検が安全を維持する最低線と考えています.

定期点検のときに皆さんから色々とお話を聞くことができます.世間話のようなお話の中に,ユーザの貴重な生の声がよく混じっています.また,「車いすの定期点検です」といって巡回していると,面白いアイデアを頂くこともあります.


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03/05/15 公開

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