ペインクリニック
脳神経外科では、痛みの診断と治療(ペインクリニック)の診療を活発に行っています。
神経ブロックと脊髄刺激療法がその2本柱です。
① 神経ブロック
目的とする神経の周囲に薬液を注入します。通常の内服治療や点滴注射では薬物の作用は全身に及びますが、神経ブロックは目的の神経にのみピンポイントで作用します。したがって効果が高く、全身の副作用が少ないことが利点です。レントゲンやエコーを用いることでさらに正確で安全なブロックを行うことができます。さらに、パルス高周波(高周波熱凝固)装置を使用すると3~6ヵ月の長期間の鎮痛効果が得られます。



② 脊髄刺激療法
脊髄刺激療法(SCS)は、痛みやしびれが脊髄を通って脳に伝わることを利用し、脊髄(せきずい)に微弱な電気刺激を与えて、痛みやしびれをやわらげる治療法です。リードと呼ばれる電極を脊髄を保護する膜(硬膜)の外側に接するように背中から挿入し、硬膜越しに脊髄に電気を伝えます。内服薬や神経ブロックにより鎮痛効果が得られない方が対象です。特に脳卒中後の痛み、頚椎・腰椎手術後の痛み、閉塞性動脈硬化症の痛み、複合性局所疼痛症候群(CRPS)などに有効です。1週間の試験刺激(トライアル)で痛みやしびれが改善したら、本埋め込みを行います。


ペインクリニックが対象とする痛み
頭痛、顔面痛、頚部痛、肩痛、腕や手指の痛み、背中の痛み、腰痛、膝の痛み、足の痛み、会陰部の痛みなど
ほかに、めまい、顔面神経麻痺、突発性難聴、手足の冷感など
ペインクリニックが対象とする病気
痛みの病気
頭痛、三叉神経痛、頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、頚椎後縦靭帯骨化症、肋間神経痛、胸椎黄色靭帯骨化症、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、非特異的腰痛、仙腸関節痛、肩関節周囲炎、胸郭出口症候群、手根管症候群、帯状疱疹後神経痛、末梢血行障害、癌の痛み、脳卒中後の痛みなど
痛み以外の病気
突発性難聴、顔面神経麻痺、顔面けいれんなど
2024年の実績
神経ブロック 477例
脊髄刺激療法 12例(トライアル 7例、埋め込み 5例)